「私、戦争の絵本なんて面白くない!」小学校低学年(小2)の長女に言われました。
怖いし、楽しくないし、トラウマになりそうな絵本も多いかもしれません。
戦争の絵本、好きになる必要なんてないと思っています。
だって、「戦争」だもの。
面白くなくて当たり前。
でも聞いて欲しい。読んで欲しい。知っておいてほしい。
もう絶対に「戦争」をしないために。
戦争の絵本 2010年以降の新刊にも注目!
数ある戦争の絵本の中ですが、まだ続々新しいものが発行されています。2010年以降に発刊されているおすすめの新刊を紹介します。
へいわとせんそう
・2019年3月発行
・文は谷川俊太郎さん。絵はモノクロでシンプル。
「へいわの●●」「せんそうの●●」と見開きで同じものを比較している絵本です。
わたしの「やめて」
・2015年9月発行
・「自由と平和のための京大有志の会」の声明書を子ども向けに絵本化したもの
「わたしのいのちはわたしのもの だれかのどうぐになりたくない」
戦争を始める言い訳、学校で学ぶってことの意味が選び抜かれた文字に込められています。
ぼくのこえがきこえますか?
・2012年6月発行
・日・中・韓の絵本作家が作った絵本。
絵本冒頭で、ぼくは死ぬ。
でも、死後もぼくの感情は生者の感情を敏感に感じ取って、切なる思いを発信し続ける。
へいわってどんなこと?
・2011年4月発行
・平和の定義を考える
・日・中・韓の絵本作家が作った絵本。
「ばくだんなんておとさない」「あさまでぐっすりねむれる」
身近なところに今ある本当は幸せなことから、戦争によってこわれてしまうものまで、平和の定義を考える絵本。
へいわってすてきだね
・2014年6月発行
・絵:長谷川義史さん
主人公のぼくが、平和についてあれこれ考えていきます。
対称的な戦争についてもふれますが、日常の何気ない「平和」がメインテーマです。
せんそうしない
・2015年7月発行
・文:谷川俊太郎さん
「ちょうちょとちょうちょは せんそうしない」
「きんぎょときんぎょも せんそうしない」…
「戦争するのは おとなとおとな」
自分の大事なものを守るため、誰かの大事なものを壊してしまう。
よしこがもえた
・2012年6月
・衝撃的なタイトルだけど、実話
おかあさんが赤ちゃんを産んだ。その日の夜、空襲がありました。
小学校1年生の私と妹のよしこが逃げている途中、焼夷弾が落ちて妹が火だるまになってしまいます…。
タケノコごはん
・2015年8月発行
・戦時下の学校の先生と生徒の交流
戦時下の絵本やゲームも戦争関連。戦時下のあだ名は戦争関連。
友だちのお父さんが戦死したらしい。たくましい先生も戦死したらしい。
また、新しい先生も戦争に行くことになった。
もっとおおきなたいほうを
・2009年11月
・「相手よりももっともっと」から生まれるもの
相手が自分より大きな大砲を持っていたら、もっと大きなものを。
更に相手が大きな大砲を持ちだしたら、もっともっと大きなものを…。
戦争の絵本 定番8選
ひろしまのピカ
・広島に落ちた原爆をみいちゃん家族と一緒に追体験
原爆、火事、穴のあいたお父さん、川を流れる人や猫、死体、握ったままだった箸のこと、日本人以外にも多くが亡くなったこと、原爆後遺症…。
迫力ある絵も印象的な、長く読み継がれる絵本です。
まちんと
・原爆がテーマ
・「まちんと」は、「もうちょっと」の意味。
方言「まちっと」をしっかり言えない幼児の言葉。
8月6日、広島に原爆投下された日。
被爆後、もうちょっとと、トマトを欲しがって亡くなった2歳(もうすぐ3歳だった)の女の子の話。
おとなになれなかった弟たちへ
・戦時下、空腹と飢え、食料確保がいかに難しいかを知る。
10歳の兄は、空腹に耐えかねて、まだミルクが必要な弟に配給された甘いミルクを飲んでしまいます。そして、弟は死んでしまいます。
「病名はありません。栄養失調です…。」
まっくろなおべんとう
・実話がベースにある話
・原爆がテーマ
8月6日の広島。しげるは、被爆し戻ってこなかった。
探しに行った母が見つけたのは、まっくろなおべんとうをだいじそうに抱えて死んでいたしげるだった。
おこりじぞう
・原爆がテーマの絵本
・わらいじぞうがおこりじぞうになる
原爆投下後、背中に大やけどを負った女の子には、おじそうさんの顔が母に見えた。
水を欲しがる女の子に、お地蔵さんが涙の水を飲ませる…。
かわいそうなぞう
・戦時中、動物園の動物達はどうなるのかに考えを巡らせる
戦時下、動物園に爆弾が落とされたらどうなるでしょうか。
檻が破壊されて動物が逃げ出し、周囲の人々に危害を加えないよう、動物達は…。
一つの花
・小学校の教科書にも登場する話
・戦時下で覚えた最初の言葉「一つだけちょうだい」
今のように食料が豊富でなかった時代、いつもお腹を空かしていたゆみ子が最初に覚えたのは「一つだけちょうだい」という言葉。
お父さんがいよいよ戦争に行く日、見送りにいった時にも、ゆみ子の「一つだけ…」が始まりました。
ななしのごんべさん
・大阪の空襲の話
・戦時下の障がい者(小児麻痺)
ももこは、小児麻痺で歩行が困難な女の子。学校に行くことさえ拒否されてしまいます。そんな桃子にも、戦争の影が忍び寄ります。
世界の戦争絵本・外国が舞台の絵本
戦争は日本だけで起こったわけではありません。
世界で読まれている戦争絵本や、外国が舞台の絵本を紹介します。
せかいいちうつくしいぼくの村
・絵本の舞台は、アフガニスタンのパグマン村
花が咲き乱れ、あんずやすもも、さくらんぼを家族でもぎ取って、まちに売りに行く。そんな平和な日常の話かと思いきや…。
なぜあらそうの?
・ロシアの絵本作家による戦争の絵本
・文章はなし。絵だけの絵本。
細い線のタッチで描かれたカエル。突然現れたネズミが、カエルの持っていた花を奪った。ページをめくる度に、周りの仲間を巻き込み、やられてはやりかえす戦争になります。
非武装地帯に春がくると
・日・中・韓平和絵本シリーズ
・韓国と北朝鮮の境にある「非武装地帯」の話
非武装地帯は、朝鮮戦争休戦協定によって鉄条網が張り巡らされたエリア。
現在、人は住むことができないものの、野生動物が多く生息しているそうです。
なぜ戦争をするのか?六にんの男たち
・作者は、イギリスの漫画家、イラストレーター、絵本作家。
6人の男たちが求めたのは「へいわに働いて暮らすことができる土地」。
でも、要求がある程度満たされると次々と心配の種ができ、また、欲がでてきて…。
地雷ではなく花をください
・カンボジアの村の中にある地雷原と撤去作業、被害の話
・絵本の収益金は、お金と時間がかかる地雷撤去に使われます!
世界には、戦後もになっても戦時中に地中に埋められた地雷によって亡くなったり、被害をうける動物や人が今もいます。カンボジアの地雷の話が絵本になりました。
戦争の資料・写真本
絵本を読む背景として、知っておいたらより深く状況を理解できそうな戦争の資料・写真本を紹介します。
あの日、家族が消えた!広島への原爆投下
・原子爆弾に関する絵本の背景をつかみやすい写真&データ本
原爆関連の絵本を読んでいて度々登場する景色、現象、被爆者の症状、被ばく証言、原子爆弾のデータなどが載っています。
戦中・戦後の暮しの記録 君と、これから生まれてくる君へ
・雑誌『暮しの手帖』が見つめてきた貴重な戦中戦後の記録集
『暮しの手帖』創刊70周年を記念して纏められた本。
選りすぐりの手記、手紙、絵、写真とともに戦中、戦後を振り返ります。
戦争の絵本を幼児(5歳児)と小学生(小2)に読んでみた
『せんそうとへいわ』を読んだ時、5歳児は<へいわのママ><せんそうのママ>のページを見比べて、
「あ、へいわのママは、今のママだね。こうやって絵本読んでる。」と言いました。
その後、
「あれ、てきのあかちゃんと、みかたのあかちゃん、同じだよ!?」
と何かおかしいことを発見したように言いました。
「そうだね。敵も味方もおなじように人間の赤ちゃんだからね。」と話しつつ、敵が鬼の形相をしてないことを知った子ども。
今、ワンステップ成長したなと思いました。
小2のお姉ちゃんは、もっと楽しい話をききたいと話していましたが、
『ひろしまのピカ』の読み聞かせでも絵を見てじーっと聞き入っていたので何か感じるところがあれば良いなと思います。
楽しい話も、また読もうね(^^)
まとめ
最近、世界各国が他国に対して攻撃的になっているように感じてなりません。
戦争の絵本は、進んで手に取りたくはない絵本でしょう。
でも、時々子どもだけではなくて、大人だって手に取って読んでほしいと思います。
そして、後書きに書かれている作者の想いにも目をとおしてメッセージを受け取ってほしいと思います。
何も生み出さないことをみんなが知っている
「戦争」なんて選択を、人類が選ばないように。